【当院における検査の位置づけ】
むくみクリニックでは、リンパ浮腫診療を、
①全身状態・鑑別診断の確認
②圧迫療法・手術適応判断のための循環評価
③リンパ機能評価
の3つの視点で捉えています。
そのため、下記検査を可能な範囲で事前にご実施いただけると、診療・治療方針決定が円滑になります。
※事前の検査が難しいようであれば、当院受診時に検査を実施、または予定します。
※患者さん向け検査説明は、このページの下段に記載してあります。
【検査一覧と目的】
① 採血(一般的な血算・生化学検査)
(目的)
低アルブミン血症、甲状腺機能異常、腎・肝疾患などのチェック
→ リンパ浮腫類似症状(全身性浮腫)の除外
感染・炎症、糖代謝異常の評価
(臨床的意義)
原発性/続発性リンパ浮腫の鑑別
保存療法・手術の安全性評価
② 胸部レントゲン
(目的)
心不全、胸水、縦隔病変などの除外
(臨床的意義)
全身性浮腫や静脈還流障害の鑑別
③ 心電図
(目的)
不整脈・虚血性心疾患の評価
(臨床的意義)
圧迫療法・日帰り手術の安全管理
④ 下肢静脈エコー(DVT・静脈瘤)
(目的)
深部静脈血栓症(DVT)・慢性静脈不全の評価
(臨床的意義)
リンパ浮腫と静脈性浮腫の鑑別
圧迫療法導入・強度設定の判断材料
※当院連携先の、「お茶の水血管外科クリニック」にて検査可。
⑤ ABI(Ankle Brachial Index)
(目的)
下肢動脈疾患のスクリーニング
(臨床的意義)
圧迫療法の可否・安全性評価
ABI低値例では圧迫条件の慎重な調整が必要
⑥ リンパシンチグラフィ
(目的)
リンパ輸送能の全体像評価
原発性/続発性リンパ浮腫の病態把握
他の内臓疾患との鑑別目的
(当院での位置づけ)
リンパ浮腫検査の国際標準検査
リンパ管エコー・ICG造影検査にて複合的な視点で、治療検討
病期分類、治療戦略立案、患者説明に有用
▶ 当院推奨リンパシンチグラフィ・プロトコール
当院では、両時相(15分・60分)撮影を基本とし、
下肢では足趾間皮下注による生理的リンパ流評価を重視しています。
詳細条件は、以下のPDFをご参照ください。
(装置条件、投与量、撮影範囲・体位、運動負荷の考え方を明示)
【医療者向けFAQ】
<診療に必要な検査について>
Q1. なぜリンパ浮腫診療に、これらの検査を事前に確認するのですか?
A.
当院ではリンパ浮腫を
①鑑別診断(全身性・静脈性浮腫の除外)
②圧迫療法・手術の安全性評価
③リンパ機能評価
の3層で評価しています。
そのため、血液検査・循環器評価・血管評価を含めた検査を事前に把握できると、
初診時から治療戦略を具体化しやすくなります。
Q2. 採血検査で特に重視している項目は何ですか?
A.
特に以下を重視しています。
アルブミン(低栄養・全身性浮腫の除外)
腎機能・肝機能
甲状腺機能
炎症反応
糖代謝異常
これらは、
「リンパ浮腫単独かどうか」
「保存療法・手術の安全性」
の判断材料となります。
Q3. 胸部レントゲン・心電図は全例必要ですか?
A.
必須ではありませんが、以下の場合に有用です。
・高齢者
・心疾患の既往がある症例
・両側性・急速進行性の浮腫
心不全や循環不全が関与している症例では、
リンパ治療単独では改善しないケースがあり、鑑別上重要です。
Q4. 下肢静脈エコーは、リンパ浮腫とどう関係しますか?
A.
リンパ浮腫症例では、
・慢性静脈不全
・静脈瘤
・既往DVT
を合併していることが少なくありません。
これらを見落とすと、
圧迫療法の効果が不十分、あるいは症状悪化を招く可能性があります。
Q5. ABI検査を行う理由は何ですか?
A.
ABIは、圧迫療法の安全性評価として重視しています。
ABI低値例では強圧迫はリスク
圧迫圧・素材選択の調整が必要
当院では、
「圧迫できるかどうか」ではなく「どう圧迫するか」
を判断するための指標として活用しています。
Q6. リンパシンチグラフィは必須検査ですか?
A.
当院です。貴院で検査できない場合は、当院外来時に、リンパシンチグラフィ検査を予定します。
必要に応じて、下記の検査を追加します。
・リンパ管エコー
・ICGリンパ管造影
リンパシンチグラフィは、
・リンパ輸送能のマクロ評価
・原発性/続発性の病態理解
・患者説明・病期評価
を目的に、補助的に位置づけています。
Q7. 当院が推奨するリンパシンチグラフィの特徴は何ですか?
A.
当院では、
両時相(15分・30分・60分)撮影
生理的リンパ流を反映しやすい足趾間皮下注
下肢全長〜体幹リンパ流を一連で評価
を重視しています。
詳細な撮影条件・投与量・体位・運動負荷については、
別紙PDFの「当院推奨プロトコール」をご参照ください。
Q8. シンチグラフィ結果は、手術適応判断にどの程度影響しますか?
A.
単独では判断しません。
リンパ管エコーでのリンパ管径・壁性状
ICG造影での皮膚逆流パターン
臨床症状・病期
と総合的に判断します。
シンチグラフィは、
「リンパ流全体の背景理解」
として位置づけています。
Q9. すでに他院で実施された検査がある場合、再検査は必要ですか?
A.
原則として不要です。
比較的最近のデータ(1年以内)
臨床的に整合性が取れている場合
は、その結果を活用します。
不足している情報のみ、必要に応じて追加を検討します。
Q10. 紹介時に特に共有してほしい情報は何ですか?
A.
以下があると非常に助かります。
原疾患・手術内容(郭清範囲・放射線治療歴)
浮腫の発症時期・経過
既存の圧迫療法内容
静脈疾患・感染(蜂窩織炎)歴
実施済み検査結果
これにより、
初診時から具体的な治療選択肢を提示できます。
Q11. この検査体系の最終目的は何ですか?
A.
最終目的は、
・不必要な治療を避ける
・危険な治療を行わない
その患者にとって最適な選択肢を提示する
ことです。
当院では、
保存療法・手術のいずれかに偏らない診療を基本方針としています。
【むくみ(リンパ浮腫)を正しく診断するために】
リンパ浮腫は、「リンパの流れ」だけでなく、体全体の状態や血管の病気とも関係します。
そのため、むくみクリニックでは、安心・安全に治療を行うために、以下の検査結果を参考にしています。
【検査の内容と意味】
🩸 血液検査(一般的な血算・生化学検査)
栄養状態、腎臓・肝臓、甲状腺の働きを確認します
むくみの原因がリンパ以外にないかを調べます
🫁 胸部レントゲン
心臓や肺の状態を確認します
心臓の病気によるむくみを見逃さないためです
❤️ 心電図
心臓のリズムや負担をチェックします
日帰り手術や圧迫療法を安全に行うために重要です
🦵 下肢静脈エコー
血栓や静脈の病気がないかを超音波で調べます
血管のむくみとリンパのむくみを見分けます
🧦 ABI検査
足の血流を調べる検査です
弾性ストッキングなど圧迫療法が安全にできるかを確認します
🧬 リンパシンチグラフィ
リンパの流れを画像で確認する検査です
ごく少量の薬剤を足(または手)に注射し、
時間をあけてリンパの流れを撮影します
【この検査でわかること】
リンパの流れがどこで滞っているか
生まれつきのリンパの特徴か、手術や治療後の変化か
※当院では、検査の結果だけで治療を決めることはありません。
超音波検査や診察結果とあわせて、
保存療法・手術のどちらが適しているかを一緒に考えます。
最後に
これらの検査は、
「より正確に診断し、無理のない・納得できる治療を行うため」のものです。
すべての検査が必須というわけではありませんが、
事前に分かっている情報が多いほど、
診療の質と安全性が高まります。
ご不安な点があれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。
【リンパ浮腫診療に必要な検査について(FAQ)】
※1年以内に人間ドックや検診等で検査を行っている場合、その検査結果を参照します。検査資料を外来時にご持参ください。
Q1. なぜ、リンパ浮腫の診療でたくさんの検査が必要なのですか?
A.
むくみの原因は、必ずしもリンパだけとは限りません。
心臓・腎臓・肝臓・甲状腺・血管の病気などでも、似た症状が起こります。
そのため当院では、
「リンパ浮腫であることを正しく確認する」
「安全に治療(保存療法・手術)を行う」
この2点を目的に、必要な検査を確認しています。
Q2. 血液検査では何を調べていますか?
A.
血液検査では、以下のような点を確認します。
栄養状態(アルブミン)
腎臓・肝臓の働き
甲状腺機能
炎症や感染の有無
糖代謝・脂質異常
これにより、
リンパ浮腫以外の原因によるむくみを除外します。
Q3. 胸部レントゲンや心電図は、なぜ必要なのですか?
A.
心臓の病気がある場合、全身にむくみが出ることがあります。
胸部レントゲン:心臓や肺の状態を確認
心電図:不整脈や心臓への負担を確認
これらは、
圧迫療法や日帰り手術を安全に行うための確認として重要です。
Q4. 下肢静脈エコー検査は何のために行うのですか?
A.
下肢静脈エコーでは、
深部静脈血栓症(DVT)
静脈瘤や慢性静脈不全
などを調べます。
リンパ浮腫と静脈の病気は、同時に存在することも多く、
治療方針(特に圧迫療法)を決めるうえで重要な検査です。
Q5. ABI検査とは何ですか?
A.
ABI検査は、**足の血流(動脈の状態)**を調べる検査です。
この検査により、
弾性ストッキングや包帯による
圧迫療法が安全に行えるか
を判断します。
血流が弱い場合は、
圧迫の強さや方法を慎重に調整する必要があります。
Q6. リンパシンチグラフィとは、どのような検査ですか?
A.
リンパシンチグラフィは、
リンパの流れ全体を画像で確認する検査です。
ごく少量の薬剤を皮下に注射
時間をあけて撮影し、リンパの流れを観察
痛みや負担は比較的少なく、
リンパの輸送機能を客観的に評価できます。
Q7. リンパシンチグラフィで何がわかりますか?
A.
この検査では、
リンパの流れがどこで滞っているか
原発性か、手術・治療後の続発性か
左右差や重症度の傾向
などが分かります。
当院では、
診断・病態把握・患者さんへの説明を目的に活用しています。
Q8. 検査結果だけで、治療方法は決まりますか?
A.
いいえ。
当院では、検査結果だけで治療を決めることはありません。
・診察所見
・超音波(リンパ管エコー)
・生活背景や症状の困りごと
を総合的に考え、
保存療法が適しているか
手術(リンパ管静脈吻合術)が考えられるか
を、患者さんと一緒に検討します。
Q9. すべての検査を必ず受ける必要がありますか?
A.
必ずしもすべてが必須というわけではありません。
すでに他院で実施された検査結果があれば、
それを参考に診療を進めることが可能です。
不足している検査があれば、
その理由を説明したうえで、追加をご相談します。
Q10. 検査について不安がある場合はどうすればよいですか?
A.
検査の目的や必要性について、
いつでも遠慮なくご質問ください。
当院では、
「納得して治療を受けていただくこと」
を大切にしています。
平素より、リンパ浮腫診療において多大なるご協力を賜り、誠にありがとうございます。
本状では、当院でお願いしている予約料(選定療養費)について、
先生方に誤解なくご理解いただくことを目的としてご説明いたします。
1.予約料は、正式な制度に基づくものです
当院の予約料は、
関東甲信越厚生局に「選定療養費」として届け出を行い、登録されている正式な費用です。
・平日:5,000円税込
・土日:6,000円税込
保険診療とは別枠で、
診療時間・人員体制・診療の質を確保するための費用として設定しています。
2.予約料をお願いする理由(診療体制の特性)
リンパ浮腫は、
病状・進行度・生活背景によって治療選択が大きく異なる疾患であり、
短時間での判断が難しいケースが少なくありません。
当院では、
・初診・再診ともに 60〜90分の診療時間を確保
・リンパ浮腫診療の経験を積み、
定期的な学会参加・院内教育・評価をクリアしたスタッフが
患者さん一人ひとりを専任で担当
・状態把握を十分に行ったうえで、医師が診察・方針決定
という体制をとっています。
この診療体制を維持するため、予約料をお願いしております。
3.予約料を頂かない外来について
治療の流れの中で必須となる以下の外来では、
予約料は頂いておりません。
・リンパシンチグラフィ検査の結果説明
・術前外来
・LVA手術後3か月・6か月の定期外来
・担当医が医療的に必要と判断した緊急外来
患者さんの治療継続において、
費用面が障壁とならないよう配慮しています。
4.診察後のフォロー体制について
当院では、診察終了後に生じた疑問や不安についても、
外来時に担当したスタッフがWeb・電話で対応しています。
これにより、
・不必要な再受診の抑制
・患者さんの不安軽減
・紹介元への問い合わせ負担の軽減
につながっていると考えています。
5.待ち時間管理について
当院では、
受付後〜スタッフ対応開始までの待ち時間を
・原則30分以内としています。
万一30分を超えた場合には、
当該外来の予約料は頂戴しておりません。
6.紹介医の先生方にとってのメリット
本体制により、
・十分な時間をかけた状態評価・方針整理
・手術適応・保存療法継続のいずれについても
理由を明確にした説明
・患者さんの理解度・納得度の向上
が可能となり、
紹介後のトラブルや行き違いが少ない診療を心がけています。
7.最後に
当院の予約料は、
・手術を前提とした費用ではなく
・医療の質と判断の一貫性を守るための仕組み
です。
今後も、紹介医の先生方と連携しながら、
患者さんにとって最善のリンパ浮腫診療を提供できるよう努めてまいります。
ご不明な点等がございましたら、
いつでもお気軽にお問い合わせください。
むくみクリニック院長 三原 誠
【紹介医の先生方向け FAQ】
むくみクリニックの予約料(選定療養費)について
Q1.なぜ保険診療に加えて「予約料」を徴収しているのですか?
A.リンパ浮腫診療に必要な十分な時間と体制を確保するためです。
リンパ浮腫は病態・進行・生活背景が多様であり、
短時間の外来では適切な評価・方針決定が困難な症例が少なくありません。
当院では初診・再診ともに 60〜90分 を確保し、
状態評価・保存療法の妥当性・手術適応の検討を丁寧に行っています。
この診療体制を維持するため、予約料(選定療養費)をお願いしています。
Q2.予約料は制度上、問題ないのでしょうか?
A.問題ありません。正式に届け出を行った制度です。
当院の予約料は、
関東甲信越厚生局に「選定療養費」として届け出・登録されている正式な費用です。
・平日:5,000円税込
・土日:6,000円税込
自由診療ではなく、
保険診療を補完する制度上認められた枠組みで運用しています。
Q3.すべての外来で予約料が発生しますか?
A.いいえ。治療上必須となる外来では頂いていません。
以下の外来では、予約料は頂いておりません。
・リンパシンチグラフィ検査結果の説明
・術前外来
・LVA術後3か月・6か月の定期フォロー
・担当医が医療的に必要と判断した緊急外来
治療継続において、
費用面が障壁とならないよう配慮しています。
Q4.予約料があることで、患者さんが受診をためらうことはありませんか?
A.実際には大きな障壁にはなっていません。
当院を受診される患者さんの多くは、
・他院での説明に不安が残っている
・手術適応について整理したい
・長期的な方針を相談したい
といった背景をお持ちです。
そのため、
十分な時間をかけた評価と説明が受けられること自体が価値
と受け止めていただくケースが大半です。
Q5.予約料を支払った患者さんに、手術を強く勧めることはありませんか?
A.そのようなことはありません。
当院の予約料は、
・手術を前提とした費用ではなく
・評価・判断・説明の質を担保するための費用です。
保存療法継続が適切な場合や、
現時点で手術適応がないと判断される場合も、
その理由を明確に説明したうえで経過観察とします。
Q6.診察後のフォローはどのように行っていますか?
A.診察後も、追加費用なく相談対応を行っています。
診察後に生じた疑問や不安については、
外来時に担当したスタッフが、Web・電話で対応しています。
これにより、
・不要な再受診の抑制
・患者さんの不安軽減
・紹介元医療機関への問い合わせ負担の軽減
につながっていると考えています。
Q7.外来の待ち時間はどの程度ですか?
A.スタッフ対応開始まで、原則30分以内です。
受付後〜スタッフが対応を開始するまでの待ち時間は
30分以内を原則としています。
万一、30分を超えた場合には、
その回の予約料は頂いておりません。
Q8.紹介医として、患者さんにどのように説明すればよいでしょうか?
A.「時間をかけて整理・説明を行う専門外来」とお伝えください。
たとえば、
「リンパ浮腫を専門に、時間をかけて状態と治療方針を整理してくれる外来です」
「すぐ手術を決める場ではなく、今後の選択肢を整理する場です」
と説明していただくと、患者さんの理解が得られやすいようです。
Q9.予約料があることで、紹介後のトラブルは起きませんか?
A.むしろ少ないと感じています。
・診療内容・時間が事前に明確
・説明に十分な時間を確保
・方針が整理された状態で患者さんが帰宅
するため、
「聞いていない」「納得していない」といった行き違いが起こりにくい
という利点があります。
Q10.どのような患者さんの紹介が適していますか?
A.以下のようなケースでご相談いただくことが多いです。
・手術適応について判断に迷う症例
・保存療法の妥当性を整理したい症例
・早期リンパ浮腫で今後の方針を検討したい症例
・入院治療が必要かどうかの判断が必要な症例
最後に
当院の予約料は、
医療の質と判断の一貫性を守るための仕組みです。
紹介医の先生方と情報を共有しながら、
患者さんにとって最善のリンパ浮腫診療を提供できるよう努めてまいります。