リンパ浮腫治療「LVA(リンパ管静脈吻合)手術」は医療保険の給付対象です

日帰り「LVA手術」について


日帰りLVA手術実績 約1500肢(開業~2023年10月末)

当院では、日帰りLVA手術を実施しております。三原院長の年間の手術件数は約450肢、むくみクリニックの開業から2023年10月末までの日帰りLVA手術件数は、約1500肢となり、日本一の手術件数となります。安全に手術を実施することを心がけており、また、専属看護師の術前チェック体制も整備しており、術後の皮膚感染や、創部離開などの治癒可能な比較的侵襲の小さな合併症率は0.1%以下(取り返しのつかない神経障害などの大きな合併症は0%)となります。患者様に安心して手術を受けていただけるよう、これからも改善活動を継続いたします。

 

(注1)LVA(リンパ管静脈吻合)手術は医療保険の給付対象となります。

(注2)全身麻酔でのLVA、脂肪吸引術、象皮病根治術、リンパ節移植術は、安全性を担保するため、JR東京総合病院リンパ外科・再建外科にて入院加療を行います。三原の診察時にご相談ください。

日帰りLVA手術 リンパ浮腫 治療 手術
安全な日帰りLVA手術を実践

日帰りLVA(リンパ管静脈吻合)手術とは?


局所麻酔下で行われる低侵襲で体に優しい手術です。高性能顕微鏡と世界一細い針糸を使ってリンパ管と静脈をつなぎ、リンパの流れを改善することで、むくみや蜂窩織炎、痛みなどの症状を緩和します。

手術を受けたその日のうちに帰宅できることで、ご家庭の事情やお仕事の都合で手術を諦めざるを得なかった方々にも、このたび、日帰りによる「LVA(リンパ管静脈吻合)手術」を検討していただける運びとなりました。


安心して手術を受けて頂くために(手術当日)


当院では安心して日帰り手術を受けて頂くために、医師・看護師がしっかりと患者さんを心身共にサポートさせて頂きます。

手術前のICG蛍光造影検査・超音波検査実施中も一つ一つ患者さんに見ていただいております。

 

手術もご本人の希望に応じて、手術用顕微鏡の画像をモニターに映し、患者さんに見てい頂いております。殆どの患者さんは、手術中の映像を実際に見て、ご自身の病態の理解を深められています。

 

 手術後も、手術室業務の経験豊富な看護師が、患者さんの血圧や心電図のチェックなどをしっかりと行った上で、医師が傷の最終チェックの上で、帰宅の判断を行います。開業後より、手術後に出血などの問題が生じた患者さんはおられません。

※手術ですので、理論上の合併症が存在しますので、日帰り手術の可否は慎重に判断しております。

 

当院では、ご家族の手術見学もお勧めしております。手術時間は2-2.5時間程度になりますので、その間の30分程度を手術室の中で見学して頂けます。

ご家族も患者さんの病態を理解頂くことで、治療効果はより改善いたします。

安全に手術を受けて頂くために


術前の看護外来

当院では、患者さんやご家族が安心して手術を受けて頂くために、1~1.5時間程度をかけて術前の看護師外来を設けております。

患者さんは小さなことでも構いませんので、いろいろと看護師に不安を相談してみてください。

500件以上の日帰りLVA手術を担当してきた看護スタッフが、丁寧に対応いたします。

リンパ管静脈吻合術の治療メカニズム


LVA 手術 名医 三原誠 リンパ浮腫 蜂窩織炎

治療のメカニズムを簡単に説明します。リンパ節郭清後のリンパ管内圧は、100mmHg以上に上昇すると言われています。対して正常な皮下静脈内圧は10mmhg以下です。リンパ管と静脈を直接吻合すると、リンパ管内圧と静脈圧の間で圧較差が生じ、異常に上昇したリンパ管内圧は、静脈圧近くまで降圧できると考えています。これまで行われてきた保存療法が対症療法であったのに対し、LVAはリンパ管内圧の上昇というリンパ浮腫の病態に直接働きかける、本質的な治療といえます。

 

また、しっかりとしたバイパス路が作成できた症例に関しては、術後にリンパドレナージや、弾性ストッキング着用を行う事で、これまで以上に浮腫軽減効果が出てきます。局所麻酔による低侵襲手術に進歩してきたことで、90才以上の患者さんも問題なく手術を受けています。 手術時間は2~3時間程度となります。 以下に、手術動画(英語)を掲示致します。手術創は1~2cm程度で、体の負担はとても小さな手術になります。現在では、手術前に、エコーやICG検査にて正確に静脈や、リンパ管を同定できることができるようになり、手術成績が飛躍的に向上しました。

※尚、心臓疾患(狭心症、心筋梗塞)などで日帰り手術が適切でないと判断した場合は、JR東京総合病院リンパ外科・再建外科にて入院での手術(執刀;原尚子 医師)をお勧めします。

なぜ、日帰りによる手術が可能なのでしょう?


  1. 手術時間も短く、局所麻酔下で行われる低侵襲で体に優しい手術であること
  2. 術後の早い段階より、水分補給や食事などの経口摂取、トイレ、歩行などが可能であ ること。
  3. (強い痛みを伴うことはありませんが)鎮痛剤や座薬などで痛みの対処ができるため、 入院しなくても痛みのコントロールが可能であること。
  4. 術後のケアは、手術翌日にガーゼから防水テープに貼り替え、痛み止めや抗生物質の服用がメインとなり、新たな治療が必要では無いこと。

低侵襲で体への負担が小さく、術後の経過がとても穏やかでもあることから、日帰り手術に適していると言われています。

 



当院のLVA手術の5つの特徴

~患者さんにとって、安心して受けられるリンパ浮腫手術を目指して~

① 約20年にわたる経験と、最新の超音波技術による「確実な手術」

むくみクリニックの院長・三原誠は、20年前からLVA手術に取り組んできました。初期のLVAは術者の勘と経験に頼らざるを得ませんでしたが、2015年以降は「リンパ管エコー」と呼ばれる技術を独自に開発・進化させ、確実にリンパ管を見つけて手術ができるようになりました。現在では、0.1mmの細さのリンパ管まで描出できる最新の超音波装置(キヤノン社製アプリオi800)と、世界最高倍率の手術用顕微鏡(三鷹光器製)を用いて、より安全で的確なLVA手術を提供しています。合併症率は、約0.2%です。

② 蜂窩織炎(38.5℃以上の発熱)を90%以上の確率で抑制

当院ではLVA手術の効果を科学的に分析しており、特にリンパ浮腫の悪化に直結する「蜂窩織炎」の予防効果に注目しています。1回のLVA手術で、90%以上の方において蜂窩織炎を予防できるようになりました。発症を繰り返すと残っているリンパ管が損傷してしまうため、炎症の予防はとても重要です。残りの10%の方に対しても、再手術や保存療法の見直しを丁寧に行うことで、最終的にはほぼすべての方が蜂窩織炎を防げるようになっています。国際的に有名な医学雑誌「British Journal of Surgery」誌に世界で初めて、三原誠院長が論文発表しています。

③ セラピストとの連携による「手術+保存療法」のハイブリッド治療

LVA手術の効果を最大限に引き出すためには、適切な保存療法との組み合わせが欠かせません。当院では経験豊富な専属リンパセラピストが在籍しており、術前・術後のケアも丁寧に行います。データ分析の結果、体重増加や不適切な保存療法はLVAの効果を損なうことが明らかになっており、むくみクリニックでは一人ひとりの生活習慣にも寄り添いながら、長期的に安定した治療成績を実現しています。

④ 重症化を防ぐ「超早期リンパ浮腫」への対応

リンパ管エコーの進歩により、症状が出始める前の「超早期リンパ浮腫」も正確に診断できるようになりました。この段階でLVA手術を行うと、将来の重症化リスクを約3分の1にまで抑えられるというデータがあります。重症化してからの治療は難しくなりますので、むくみクリニックでは「早期発見・早期手術」によって、生涯にわたって快適な生活を送っていただくことを目指しています。

⑤ お付き添いの方(ご家族・パートナー・友人・担当セラピスト)と一緒に「見える手術」

当院では、患者さんご本人や、お付き添いの方(ご家族・パートナー・友人・担当セラピスト)の方が、手術中のリンパ管吻合の様子を実際にモニターでご覧いただけます。お付き添いの方は、手術開始から約1時間後、リンパの流れが再建される一番分かりやすい場面を手術室内で、約30分間見学可能です。ご自身の手術を“見る”ことで納得と安心につながり、術後のリハビリや保存療法にもより前向きに取り組んでいただけます。また、同伴者が手術を理解することで、ご家庭でのサポートもしやすくなります。

「見える手術」だからこそ、納得と安心が生まれます

LVA(リンパ管静脈吻合術)は、非常に繊細で高度な技術を要するマイクロサージャリーです。当院では、患者さんやご家族・パートナーの方に、実際の手術中の様子をモニターでご覧いただける「見える手術」の仕組みを導入しています。

■ 実際に手術を「見る」ことで得られる安心感

ご本人には、LVA 手術中に実際の手術中の映像を見て頂くことができます。お付き添いの方には、術中の一定時間(主に手術開始から1時間ほど経過したタイミング)に、清潔エリアの外から手術室内のモニターをご覧いただきます。このタイミングでは、最も分かりやすい場面――極細のリンパ管(直径0.1~0.3mm)と静脈を顕微鏡下でつなぐ「吻合操作」の様子――をご確認いただけます。また、手術の最後には、皮膚を丁寧に縫合する様子もご覧いただけます。

■ 理解と納得が、術後の治療への意欲につながる

多くの患者さんが「自分の体の中にどんなリンパ管が残っていて、どう再建されたのか」を自分の目で見て理解することで、手術への納得感が深まり、術後の保存療法(圧迫療法、運動療法、スキンケアなど)にもより積極的に取り組まれるようになります。これは、科学的にも術後の治療成績を左右する重要な要素です。手術中の映像を見て頂いた患者さんの方が、治療成績が向上することが科学的に証明されています。

■ ご家族やパートナーも手術を「体験」することで、支援しやすくなる

手術を見学されたご家族やパートナーの方からは、「どのような手術が行われたのかがよくわかり、安心できた」「術後のサポートの大切さがよく理解できた」という感想を多くいただいています。特に、手術室という非日常的な空間で、手術そのものの“リアルな再建の瞬間”を見ていただくことで、術者への信頼と、治療そのものへの納得が高まり、患者さんを支える体制が家庭の中にも自然と築かれていきます。

■ 安全性と衛生管理にも最大限配慮

見学の際は、清潔区域に立ち入ることなく、安全に配慮された位置からモニター越しにご覧いただく形になります。また、希望されない方には無理に見学をお願いすることはありません。患者さんやご家族のご希望・ご体調に合わせて、柔軟に対応しておりますのでご安心ください。


このように「見える手術」は、患者さんとご家族にとっての“安心”と“理解”、そして“主体的な治療参加”を生む、大切な取り組みです。私たちは、治療効果の最大化だけでなく、心のケアと信頼の構築にも真剣に取り組んでいます。


日帰り手術には様々なメリットがあります!


  1. 低侵襲の手術で 体に優しい
  2. 麻酔などによる術後の不快感が少ない
  3. 日常生活に戻りやすい
  4. 日常生活の延長線上で手術を受けられるので 精神的負担が軽く、生活のリズムが狂いにくい
  5. ご家庭やお仕事への復帰が早い
  6. 入院準備の必要が無い
  7. 入院に関する費用が抑えられる
  8. 入院生活などの 煩わしさが無い

手術に関する説明書はこちらを参考にしてください。手術の詳細や合併症に関して記載しております。手術をご検討される患者様は、しっかりと検討の上、治療に臨んでください。


原科医師(名誉顧問医)


リンパ浮腫 原科孝雄 医師 治療
名誉顧問医 原科孝雄医師

術前外来では、術前検査(採血・心電図)と、手術の説明、手術室見学(※手術台に横になっていただき、当日のイメージを持っていただきます。)、リンパ浮腫の診察を1時間~1時間半ほどかけて行い、患者さん・ご家族ができるだけ安心して手術を受けていただけるように準備を整えます。この術前外来にて、安全に日帰り手術が実施できるかどうかを医学的に判断いたします。

 ※原科医師の外来は2023年3月末に終了しました。


日帰りLVA手術パンフレット