当院では早期リンパ浮腫の患者様を対象に、早期診断と早期治療(予防的LVA手術含む)を実施しております。
乳がんや、婦人科がん治療後に、リンパ浮腫を疑われる患者様、リンパ浮腫の発生を予防したい患者様、リンパ浮腫は発症してしまったが、早期に治療を受けて、重症化を避けたい患者様はご相談ください。
早期リンパ浮腫の具体的な症状としては、浮腫が発生する前に、【痛みや違和感、おもだるさ】などが出現します。このような場合は、検査をお勧めします。当院では、リンパ管エコー検査や、ICGリンパ管蛍光検査、リンパシンチグラフィ(JR東京総合病院にて実施)等の検査を用いて適確に診断し、患者様の状態に合わせた治療法(保存療法や、LVA手術)をご提案させて頂きます。
がんの治療(特に手術や放射線療法)を受けた後、腕や脚にむくみが生じる「リンパ浮腫」という合併症が起こることがあります。リンパ浮腫は、一度発症すると少しずつ悪化していくことが多く、時間の経過とともに皮膚の硬化や感染のリスクが高まります。
当院ではこの「進行する病気」であるリンパ浮腫に対して、「できるだけ早く見つけて、できるだけ早く治療を開始すること」が最も大切だと考えています。
当院では、超高周波エコー(超音波)装置を用いて、わずか0.1mmほどの細いリンパ管の変化までとらえることができます。がん手術によってリンパ節を切除された方は、体の中でリンパ液の流れが停滞し、リンパ管が膨らんでしまうことがあります。当院のエコー検査では、そのような初期の変化を正確に評価できます。
さらに、画像診断として「ICGリンパ管蛍光造影検査」や「リンパシンチグラフィ検査」も活用し、患者さんがまだ自覚症状を感じていない段階でも、異常の兆候をとらえることができます。これは、当院と順天堂大学婦人科、JR東京総合病院リンパ外科との共同研究(特定臨床研究研究)により医学的に証明することができました。
リンパ浮腫の進行を防ぐ手術として、当院では「LVA(リンパ管静脈吻合術)」という治療を行っています。これは、機能が落ちたリンパ管と細い静脈を顕微鏡下でつなぎ、リンパ液の流れを新たに作る手術です。
当院ではLVA手術の年間実施件数が230件(2024年実績)と、日本で最も多く、手術に熟練したチームが対応しています。LVA手術前には1時間ほどかけて超音波でリンパ管を丁寧に探し、安全で効果的な手術を実現しています。
さらに、LVA手術を早期に行うことで、将来的な重症化リスクが3分の1まで下がることが、医学的に証明されています(国内外の臨床研究データより)。
当院のLVA手術は局所麻酔で行われ、手術中に患者さんご自身が手術用顕微鏡のモニターを見ることもできます。リンパ管と静脈がつながり、再びリンパ液が流れる様子をご自身の目で確認できます。
また、ご家族やご友人、担当のセラピストなどのお付き添いの方にも、手術室内で一部の工程(約30分)を見学していただくことが可能です。患者さんだけでなく、支える方々もリンパ浮腫の理解を深めていただくことで、より良いサポート体制が整います。
なお、手術に伴う合併症(術後の浮腫悪化等)の発生率は約0.2%(=500人に1人)で、万が一、術後の浮腫悪化が生じた場合は、当院の専属セラピストによる保存療法を実施し、症状改善しています。他の合併症として、術後にリンパ漏や創部離解が生じても、1週間程度のケアで治癒します。神経損傷などの重篤な合併症はありませんので、どうぞご安心ください。軽微な合併症でも、万が一発生した場合は、当院が責任と誠意をもって対応いたします。
リンパ浮腫は、がんを乗り越えた方が再び不安や苦痛を感じるきっかけになることも多く、私たちはこの病気を「身体だけでなく、心の病」と捉えています。
だからこそ、当院では「身体も心も治す治療」を目指し、医学的根拠に基づいた診断と、確かな技術での治療、そして手術後のセラピストによる継続的なケアまで、一貫してサポートしています。
腕や脚の軽いむくみ、自覚のない違和感がある場合でも、早めの受診が重要です。画像診断で異常がなければ、手術の必要はありません。異常が見つかった場合は、重症化する前にLVA手術をご提案しています。
不安なことがあれば、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。あなたの「これから」を支えるために、私たちがいます。
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がん治療を終えた後、腕や脚のむくみ(リンパ浮腫)が現れることがあります。リンパ浮腫は、放置すると悪化しやすいため、早期に発見し、適切に対処することがとても大切です。
当院では、リンパ浮腫の状態をより正確に診断し、最適な治療方針を立てるために、3種類の画像検査を組み合わせて行っています。それぞれの検査には特徴があり、適切に検査を受けていただくことで、あなたにとって最も安全で効果的な治療をご提案できます。
この検査では、非常に微量の放射性物質(安全性が確保されています)を手や足の皮下に注射し、体内を流れるリンパ液の流れを全身で確認します。リンパ液がどこで滞っているか、どのように排出されているかを調べることができます。
がん治療によりリンパ節が切除された方では、リンパの流れが途中で止まり、患部に異常が見つかることがあります。国際的にも標準的な検査法として位置づけられており、リンパ浮腫の治療を考えるうえで非常に重要な検査です。
ICG(インドシアニングリーン)という薬剤を皮下に注射し、特殊なカメラでリンパの流れを観察する検査です。体表から1cmほどの深さまでのリンパ管の動きを、リアルタイムで目で確認できるのが大きな特徴です。
ただし、体の深部(浮腫が悪化した太もも、骨盤、体幹、心臓周囲など)は観察できないため、リンパシンチグラフィ検査と組み合わせて診断を行います。
この数年で飛躍的に進化した超音波検査により、皮膚の下のリンパ管や静脈を高精度で観察できるようになりました。当院ではこの超音波検査を活用し、リンパ管と吻合(つなぐ)に適した静脈を手術前に見つけることで、手術の安全性と成功率を大幅に向上させています。
以前は、経験や勘に頼ってリンパ管を探していましたが、今では事前に確認できるため、無駄な切開を避け、神経を傷つけるようなリスクもほとんどありません。当院では10年以上の実績があり、これまでLVA手術で神経を損傷して後遺症が残った患者さんはいらっしゃいません。
これら3つの検査を適切に選択し、組み合わせることで、「まだ症状を感じていないけれど、体の中では異常が始まっている」といったごく初期の状態でも、的確に把握できます。リンパ管がすでに機能していない場合には、LVA手術ではなく他の治療をご提案します。
すべては「あなたにとって必要な治療だけをご提案する」ためです。
がん治療を乗り越えたあとの身体は、見えないところで多くの変化が起きています。だからこそ当院では、最先端の検査機器と経験豊富な医師・チーム(専属セラピスト・看護師・コメディカルスタッフ・カウンセラー・公認心理師等)によって、患者さん一人ひとりに最も適した治療を提供できるよう努めています。
「このむくみ、放っておいていいのかな?」「手術が必要なのか不安」――そう思われたら、どうぞお気軽にご相談ください。検査で問題がなければ、それもまた大切な安心につながります。
早期リンパ浮腫を疑われる患者様は、リンパシンチグラフィ検査をお勧めしています。この検査でリンパ管自体の異常を認める場合は、医学的な見地より、リンパ管エコー検査や、ICGリンパ管造影検査をお勧めする場合があります。
下腹部や、脚の付け根に浮腫が出現し始めた状況で、LVA手術を実施し、症状が消失した患者様のご紹介。
予防的LVA手術を実施し、術後はストッキングの装着を最小限に抑えた患者様。
※旅行や、長時間の立ち仕事などの際に、弾性ストッキングの装着をお勧めしています。
ご本人がリンパ浮腫を疑い、手術を希望される場合でも、治療開始前の検査にて体重コントロール・保存療法が適切と判断される場合には、体重コントロール・保存療法をお勧めします。体重コントロール・保存療法を実施した上で、リンパ浮腫が改善しない場合は、あらためて手術を検討します。
その場合は、当院で実施している【100才まで元気に歩く保存療法外来】の受診をお勧めします。
早期リンパ浮腫および、早期LVA手術に関する医療者向け動画です。
リンパ浮腫の発生メカニズムや、診断方法、治療などについてご説明しています。
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