当院では、患者さんの目標や、病状に合わせたリンパ浮腫治療を行っています。国際リンパ浮腫分類や、リンパ機能専門の画像検査(リンパシンチグラフィ検査、ICGリンパ管造影検査、超音波検査)を基に治療計画を立てます。
リンパ浮腫は一旦発症すると、時間の経過と共に症状が徐々に悪化します。
蜂窩織炎が頻発すると、リンパ浮腫は更に悪化し続けます(予防治療はこちら)。
状態に合わせた適切な治療を行うことで、重症化を予防し、リンパ浮腫を治療(改善)することができます。
重症化すると治療がとても難しくなるため、発症する前の段階や、発症した場合でも早期の治療実施をお勧めします。
当院・三原誠院長は、年間のリンパ管静脈吻合術(LVA)手術件数が400肢を越え、日本一のLVA手術件数を 担当しております(2022年度)。
保存療法は、知識と経験豊富なリンパセラピストが多数在籍・連携しており、手術と保存療法を安心して受けて頂くことができます。
当院での治療は、保存療法と、LVA手術の組み合わせが最も治療成績が良いのですが、ご本人の希望に合わせて保存療法のみで経過を診る場合もあります。
ご本人の目標や治療希望に合わせて治療計画を組み立てますので、遠慮無く御相談ください。
0期 | リンパ液輸送が障害されているが 浮腫が明らかでない潜在性または無症候性の病態 |
---|---|
I期 | 比較的蛋白成分が多い組織間液が貯留しているがまだ初期であり四肢を挙げることに より治まる。圧痕がみられることもある。 |
II期 | 四肢の挙上だけではほとんど組織の腫脹が改善しなくなり圧痕がはっきりする。 |
II期後期 | 組織の線維化がみられ、圧痕がみられなくなる。 |
III期 | 圧痕がみられないリンパ液うっ滞性象皮病のほかアカントーシス (表皮肥厚) 脂肪沈着 などの皮膚変化がみられるようになる。 |
早期治療を行うことで、重症化をストップすることができます。体重増加がリンパ浮腫発症の最大の要因になりますので、体重管理をお願いしています。
0期 | リンパ液輸送が障害されているが 浮腫が明らかでない潜在性または無症候性の病態 |
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I期 | 比較的蛋白成分が多い組織間液が貯留しているがまだ初期であり四肢を挙げることに より治まる。圧痕がみられることもある。 |
II期 | 四肢の挙上だけではほとんど組織の腫脹が改善しなくなり圧痕がはっきりする。 |
II期後期 | 組織の線維化がみられ、圧痕がみられなくなる。 |
III期 | 圧痕がみられないリンパ液うっ滞性象皮病のほかアカントーシス (表皮肥厚) 脂肪沈着 などの皮膚変化がみられるようになる。 |
はじめに、リンパ浮腫治療に関する詳細な説明をさせていただきます。リンパ浮腫は、リンパ系の障害によって生じる浮腫(むくみ)の状態を指します。浮腫は、リンパ液の循環障害によって起こり、部位によっては腫れや痛み、機能障害を引き起こすことがあります。
当院では、リンパ浮腫の治療において、外科治療と保存療法を組み合わせるアプローチを取っています。外科治療は、軽症(発症前)から重度の浮腫に対して有効な方法であり、リンパ管の再建を行います。これにより、浮腫の軽減や機能の回復を目指すことができます。
一方、保存療法は、軽度から中等度のリンパ浮腫に適用される方法です。保存療法には、リンパマッサージ、圧迫包帯、運動療法、皮膚ケアなどが含まれます。これらの方法は、リンパ液の流れを促進し、余分な液体を排出することで浮腫を緩和する効果があります。
患者さんの状態やニーズに合わせて治療プランを個別に立案します。治療の目標は、浮腫の軽減や日常生活の質の向上、体の機能改善などです。治療プランは長期的なものとなり、定期的なフォローアップが必要です。これにより、治療の効果を最大限に引き出すことができます。
私たちの目標は、患者さんがリンパ浮腫による困難から解放され、より快適な生活を送れるようサポートすることです。治療の選択肢やプロセスについての理解を深め、患者さんと協力して治療に取り組んでいくことが重要です。
もし、リンパ浮腫に関して疑問や不安がありましたら、どんな些細なことでもお気軽にお聞きください。私たちが全力でサポートいたします。
以上が、当院のリンパ浮腫治療の概要です。詳しい内容や治療プランについては、診療時にさらに詳しく説明いたします。どうぞお気軽にご相談ください。
ご質問や要望がございましたら、いつでもお知らせください。お手伝いできることがありましたら、喜んでお手伝いいたします。
リンパ浮腫の軽度から中等度の症例では、保存療法が主な治療方法となります。保存療法には、リンパマッサージ、圧迫包帯、運動療法、皮膚ケアなどが含まれます。これらの方法は、リンパ循環の促進や余分な液体の排出をサポートし、浮腫の緩和を図ります。
LVA手術は、リンパ管の再建などを通じて、浮腫の軽減や改善を目指す治療法です。リンパ流の改善(再建)を行うことで、長期的な視点からリンパ浮腫の治療を目指します。
重症度分類に応じて、外科治療と保存療法を組み合わせることで、より効果的な治療結果を期待できる場合があります。 それぞれの治療方法がどのように補完し合い、患者さんの状態に適切なアプローチを選択することが重要です。 当院では、リンパ専門の画像検査(リンパシンチグラフィや、ICGリンパ管造影検査、リンパ管エコー検査)を行うことで、患者さんの目標や、病態に合わせた最善の治療を提案します。
リンパ浮腫の治療は、長期的なフォローアップが必要です。患者さんが治療を継続することで、より良い結果が期待できることを伝えます。患者さんが100才まで元気に過ごせるよう、サポートする体制を整えております。
早期治療の重要性は、浮腫の進行を防ぐだけでなく、患者さんの日常生活における機能や心理的な影響も軽減することにあります。早期の治療により、浮腫の進行を抑え、患者さんの生活の質を向上させることができます。
リンパ浮腫は、リンパ液の正常な排出が阻害されることによって生じる状態であり、患者様の生活に大きな影響を及ぼすことがあります。しかし、最新の医学研究により、リンパ浮腫の発症早期または発症前にリンパ管静脈吻合術を行うことで、リンパ浮腫の予防が可能であることが明らかになりました。本説明文では、その重要性とメリットについて詳しく説明します。
リンパ管静脈吻合術は、リンパ浮腫の予防と管理において画期的な手法です。以下に、リンパ管静脈吻合術のメリットをご紹介します。
リンパ浮腫の発症早期または発症前にリンパ管静脈吻合術を行うことで、リンパ液の流れを改善し、リンパ浮腫の発症を予防することができます。早期の介入により、リンパ浮腫の進行を抑えることができます。
リンパ浮腫は、日常生活に様々な制約をもたらすことがあります。しかし、リンパ管静脈吻合術によってリンパ液の流れが改善されると、患者様は徐々にリンパ浮腫による不快感や機能制限を軽減することができます。生活の質の向上が期待できます。
リンパ管静脈吻合術は、比較的少侵襲な手術です。手術部位は小さく、回復期間も比較的短いため、患者様の負担を軽減することができます。
当院では、日帰りLVA手術時に希望する患者さんに、ご本人の手術部位のテレビモニターを視聴して頂いています。
患者さんは、実際にリアルタイムでご自身の術野を見ることができ、疾患の理解が進みます。
以下、術中にテレビモニターを視聴する科学的に証明されたメリットです。当院では家族もLVA手術見学可能です(約30分程度)。
手術映像を見ることで、患者さんは手術の具体的なプロセスや行われる操作についてより詳細な理解を深めることができます。これにより、手術の目的や手順、リスクと利益のバランスなどについて、より具体的な知識を得ることができます。
手術映像を見ることによって、患者さんは手術の内容やリスクをより具体的に把握することができます。これにより、より適切な手術説明と医師ー患者の信頼関係が確立され、患者さんの意思決定がより具体的な情報に基づいて行われることができます。
手術映像を見ることで、手術のイメージが具体化され、患者さんの不安や緊張を軽減することができます。手術のプロセスや医師の技術を目にすることで、手術に対する信頼感が高まります。
当院では、最新の高精度超音波検査装置(Cannon Aplio i700)を使用して、リンパ浮腫の診療方針を決定しています。この装置は、リンパ浮腫の正確な診断と個別化(オーダーメイド化)された治療計画の立案に不可欠なツールです。
以下に、高精度超音波検査装置の利点と診療の有用性について詳しく説明します。
最新の高精度超音波検査装置は、優れた解像度を提供します。リンパ節やリンパ管の詳細な構造や状態を視覚化することができ、リンパ浮腫の原因となるリンパ管や血管の機能障害を評価することができます。これにより、リンパ浮腫の正確な診断と治療計画の立案に役立ちます。
高精度超音波検査装置は、リアルタイムでの血流評価が可能です。リンパ浮腫の原因となる血流の変動やリンパの循環状態を観察し、適切な治療アプローチを選択する上で重要な情報を提供します。
超音波検査装置を使用することで、リアルタイムでの画像ガイド付き治療が可能です。 リンパ管吻合術などの手技を行う際に、正確な位置と深さを確認することができます。これにより、治療の精度と安全性を向上させることができます。
高精度超音波検査装置を使用することで、リンパ浮腫の経過観察と治療効果のモニタリングが可能です。治療の効果や病状の変化を定量的に評価し、必要に応じて治療計画の調整を行うことができます。 当院では、最新の高精度超音波検査装置を用いて、リンパ浮腫の診療において最高水準の精度と効果を追求しています。これにより、患者様に対してより正確な診断と最適な治療を提供することが可能です。
私たちの診療チームは、患者様の健康と生活の質を向上させるために、最新の技術と知識を駆使して取り組んでいます。
リンパ浮腫は、リンパ液の流れが阻害されることによって生じる状態であり、患者様の生活に影響を及ぼすことがあります。
当クリニックでは、リンパ浮腫の治療において、リンパ管静脈吻合術と保存療法の組み合わせが最適であることが確認されています。
その理由と組み合わせ治療のメリットについて詳しく説明します。
リンパ浮腫の治療において、リンパ管静脈吻合術と保存療法の組み合わせは以下のようなメリットがあります。
リンパ管静脈吻合術は、リンパ液の流れを改善(再建)する手術です。一方、保存療法はリンパ浮腫の症状を管理するための日常的なケアです。両者を組み合わせることで、リンパ液の流れを改善し、同時に症状の緩和にも効果的に働くことができます。治療の効果が相乗的に向上します。
リンパ浮腫は、その原因や進行度によって症状に個人差があります。リンパ管静脈吻合術と保存療法の組み合わせ治療は、患者様の状態やニーズに合わせた個別治療が可能です。リンパ浮腫の重症度や発症原因に応じて、最適な治療プランを立てることができます。
リンパ管静脈吻合術は、リンパ液の流れを改善し、リンパ浮腫の進行を遅らせる効果があります。保存療法は、日常的なケアや予防策を通じて症状の緩和を図ります。両者を組み合わせることで、長期的な成果を維持することができます。
リンパ浮腫の治療において、リンパ管静脈吻合術(LVA 手術)と保存療法の組み合わせは、効果的で個別治療に適したアプローチです。患者様の状態やニーズに合わせた最適な治療プランを提供することで、リンパ浮腫の症状の軽減や生活の質の向上に貢献できると考えています。
むくみクリニックの院長・三原誠は、20年前からLVA手術に取り組んできました。初期のLVAは術者の勘と経験に頼らざるを得ませんでしたが、2015年以降は「リンパ管エコー」と呼ばれる技術を独自に開発・進化させ、確実にリンパ管を見つけて手術ができるようになりました。現在では、0.1mmの細さのリンパ管まで描出できる最新の超音波装置(キヤノン社製アプリオ)を用いて、より安全で的確なLVA手術を提供しています。
当院ではLVA手術の効果を科学的に分析しており、特にリンパ浮腫の悪化に直結する「蜂窩織炎」の予防効果に注目しています。1回のLVA手術で、90%以上の方において蜂窩織炎を予防できるようになりました。発症を繰り返すと残っているリンパ管が損傷してしまうため、炎症の予防はとても重要です。残りの10%の方に対しても、再手術や保存療法の見直しを丁寧に行うことで、最終的にはほぼすべての方が蜂窩織炎を防げるようになっています。
LVA手術の効果を最大限に引き出すためには、適切な保存療法との組み合わせが欠かせません。当院では経験豊富な専属リンパセラピストが在籍しており、術前・術後のケアも丁寧に行います。データ分析の結果、体重増加や不適切な保存療法はLVAの効果を損なうことが明らかになっており、むくみクリニックでは一人ひとりの生活習慣にも寄り添いながら、長期的に安定した治療成績を実現しています。
リンパ管エコーの進歩により、症状が出始める前の「超早期リンパ浮腫」も正確に診断できるようになりました。この段階でLVA手術を行うと、将来の重症化リスクを約3分の1にまで抑えられるというデータがあります。重症化してからの治療は難しくなりますので、むくみクリニックでは「早期発見・早期手術」によって、生涯にわたって快適な生活を送っていただくことを目指しています。
当院では、患者さんご本人や、お付き添いの方(ご家族・パートナー・友人・担当セラピスト)の方が、手術中のリンパ管吻合の様子を実際にモニターでご覧いただけます。お付き添いの方は、手術開始から約1時間後、リンパの流れが再建される一番分かりやすい場面を手術室内で、約30分間見学可能です。ご自身の手術を“見る”ことで納得と安心につながり、術後のリハビリや保存療法にもより前向きに取り組んでいただけます。また、同伴者が手術を理解することで、ご家庭でのサポートもしやすくなります。
LVA(リンパ管静脈吻合術)は、非常に繊細で高度な技術を要するマイクロサージャリーです。当院では、患者さんやご家族・パートナーの方に、実際の手術中の様子をモニターでご覧いただける「見える手術」の仕組みを導入しています。
術中の一定時間(主に手術開始から1時間ほど経過したタイミング)に、ご本人やお付き添いの方に、清潔エリアの外から手術室内のモニターをご覧いただきます。このタイミングでは、最も分かりやすい場面――極細のリンパ管(直径0.1~0.3mm)と静脈を顕微鏡下でつなぐ「吻合操作」の様子――をご確認いただけます。また、手術の最後には、皮膚を丁寧に縫合する様子もご覧いただけます。
多くの患者さんが「自分の体の中にどんなリンパ管が残っていて、どう再建されたのか」を自分の目で見て理解することで、手術への納得感が深まり、術後の保存療法(圧迫療法、運動療法、スキンケアなど)にもより積極的に取り組まれるようになります。これは、科学的にも術後の治療成績を左右する重要な要素です。
手術を見学されたご家族やパートナーの方からは、「どのような手術が行われたのかがよくわかり、安心できた」「術後のサポートの大切さがよく理解できた」という感想を多くいただいています。特に、手術室という非日常的な空間で、手術そのものの“リアルな再建の瞬間”を見ていただくことで、術者への信頼と、治療そのものへの納得が高まり、患者さんを支える体制が家庭の中にも自然と築かれていきます。
見学の際は、清潔区域に立ち入ることなく、安全に配慮された位置からモニター越しにご覧いただく形になります。また、希望されない方には無理に見学をお願いすることはありません。患者さんやご家族のご希望・ご体調に合わせて、柔軟に対応しておりますのでご安心ください。
このように「見える手術」は、患者さんとご家族にとっての“安心”と“理解”、そして“主体的な治療参加”を生む、大切な取り組みです。私たちは、治療効果の最大化だけでなく、心のケアと信頼の構築にも真剣に取り組んでいます。