セラピスト外来

よくある質問



Q.リンパ小疱は、どうして発症するのですか?

お腹のリンパ節を郭清したことでリンパの流れが悪くなり、リンパ液が溜まったリンパ管が水風船のようにふくれることで、このリンパ管が皮膚の表面に向かってふくれていったのが「リンパ小疱」です。リンパ小疱とはふくらんだリンパ管そのものです。

リンパ小疱にはいろいろな方向からリンパ液が流れ込んでいて、これが症状の悪化につながっていることがわかってきました。足から流れ込む、お尻から流れ込む、お腹から流れ込むなど原因はさまざまです。
2つ以上の方向からリンパ液が流れ込むこともあるため、そこにリンパ液が溜まると考えられています。

(原尚子先生の「リンパ外科への扉」より抜粋 https://hisakohara-lymphaticsurgery.jimdoweb.com/

⚠️リンパ管の機能低下 → リンパ液のうっ滞 → 皮膚への圧力上昇 → 皮膚からのリンパ液漏出 → 小疱形成

Q.陰部リンパ浮腫が原因で蜂窩織炎を繰り返します。日ごろからどのような対策を始めれば良いでしょうか?

【準備するもの】
ガードル/腹部加圧ストッキング

1.清潔を保つ
  • 毎日やさしく洗う
2.スキンケア
  • 皮膚が乾燥しないように保湿ケアをする
3.適切な圧迫療法
  • 医療用圧迫ガードルやパンティストッキング型(腹部が加圧されるもの)の弾性着衣を着用する
  • 圧迫パッド等でリンパの滞留を防ぐ
  • 正しい装着方法:生地がシワにならないように装着する
4.リンパドレナージ
  • リンパの流れを促進させる
5.感染予防
  • 小さな傷にも注意する
  • かゆみがある可能性もあるため、掻きこわし注意
  • 爪のケア:爪が長いと皮膚を傷つける可能性がある
6.適度な運動と軽い運動
  • ウォーキングやストレッチ、股関節の運動によってリンパの流れを促進する
7.早期の感染兆候を見逃さない
  • 蜂窩織炎の兆候(赤み、痛み・熱感、発熱)を察知する
  • 早期の抗生剤の服用も効果がある
⚠️上記の対応でも悪化するようえあればLVAを検討。小疱があるなら陰部リンパ小疱切除を検討。

Q.VIOの脱毛を検討していますが問題ないでしょうか?注意点などがあれば教えていただきたいです

1.皮膚トラブル
  • 脱毛後の炎症反応に気を付ける
2.感染リスク
  • 細菌感染、蜂窩織炎のリスクが増加する(免疫が低下しているため)
3.一時的なリンパ浮腫の悪化
  • 脱毛施術後の一時的な炎症、皮膚へのダメージで浮腫が悪化する可能性
4.アフターケア
  • 清潔を保ち、保湿ケアを行う。
⚠️注意点
・なるべく医療機関で行う
・事前にリンパ浮腫の主治医に相談する ※リスクを十分理解した上で行う。
・浮腫の状態が悪い時や、炎症などがある場合は脱毛しない

Q.陰部浮腫の初期の症状はどのようなものがありますか?

進行すると、陰部のむくみが引かなくなる、リンパ小疱の出現といった症状が出てきます。

早期に適切なケア(圧迫療法・リンパドレナージ・スキンケア)を行うことで、進行を防ぐことができます。専門医やセラピストに早めに相談しましょう

1.陰部の違和感
  • 陰部が「張ったような感じ」や「むくんでいる感じ」がする
  • 長時間の立位や座位で症状が悪化しやすい
  • むくみが朝よりも夕方のほうが強くなる
2.皮膚の突っ張り感・腫れ
  • 下着や衣類がきつく感じるようになった
  • 皮膚が引っ張られるような感覚がある
  • むくんでいるところを押すと跡がつく
3.圧迫や摩擦による炎症
  • 下着や衣類が擦れる部分に軽い炎症が起こる
  • 陰部周辺の皮膚が赤くなることが増える

Q.陰部のむくみはなかなか打ち明けにくいです。どのようなタイミングで相談したら良いですか?

かかりつけの医師、リンパ浮腫専門の医療機関、皮膚科医、女性看護師・医療スタッフ(訪問看護・リンパ浮腫外来)、セラピストなどに相談してみましょう。普段から気になっていることをメモしておくと伝えやすいです。

□「いつから気になり始めたか?」
「どんな症状があるか?(むくみ・痛み・かゆみ・赤み など)」
「日常生活で困っていること(歩くと違和感、座ると痛い など)」
「今までの対策(スキンケア・圧迫療法など)」

また、相談内容は下記のように症状別にお話しいただくとわかりやすいです。

初めて相談する場合  「最近、下着がきつく感じることが増えて、むくんでいる気がします。」
症状が進行している場合  「陰部の皮膚が突っ張る感じがして、むくみが引きません。」
感染リスクがある場合(医療機関受診を推奨) 「水ぶくれができて破れた部分からリンパ液が出ていて、心配です。」

Q.陰部浮腫の治療方法や、症状の軽快の見通しを教えてください

陰部リンパ浮腫は、早期に適切な治療を行うことで症状の軽減が可能ですが、完全な治癒は難しく、長期的なケアが必要となることが多いです。

むくみの進行度によって、治療の見通しが異なります。

症状が軽快しやすい人の特徴 ✅ 早期に治療を開始した(ISL分類I〜II期)
✅ 圧迫療法を適切に実施できている
✅ 体重コントロールができている
✅ スキンケア・セルフケアができている
✅ 外科的治療(LVAなど)を適切な時期に受けた
✅ 感染症(蜂窩織炎など)を繰り返していない
改善が遅くなる要因 ⚠️進行したリンパ浮腫(ISL分類III期)
⚠️ 圧迫療法が適切に行えていない(着用が困難、適切な製品がない)
⚠️ 蜂窩織炎を繰り返している
⚠️ 肥満や運動不足により、リンパの流れが悪化している


Q.陰嚢、ペニスに浮腫がある場合の圧迫療法を教えてください

1.陰部圧迫用のガードルを使用する 医療用の圧迫ガードルは、陰嚢やペニスの浮腫を含む大腿部を均等に圧迫します。 使用者の体型にフィットする製品を選びましょう。
2.パッドやフォーム素材を活用する 圧迫下着や包帯の内側に、柔らかいパッドやフォーム素材を挟むことで、陰嚢やペニスに均一な圧力をかけることができます。 医師やセラピストに相談し、適切な圧迫方法を選択することが重要です。

Q.高額な陰部圧迫用品まで手を出しにくいです。自分でできる圧迫方法などはありますか?

伸縮性のあるショーツやインナー
  • サポート力のあるガードルやショーツ(ユニクロ、GU、無印良品などの「サポートショーツ」など)
  • 産後用のガードル(フィット感があり、適度に圧迫できる)
  • メンズのボクサーパンツ(女性でも着用可能、フィット感あり)
圧迫の補助として併用すると効果アップ
  • コットン製のハンカチやタオル
    ※下着の内側に挟む。直接皮膚に当たる圧を均等にする
  • ガーゼや布ナプキン
    ※むくみの強い部分にパッド代わりに挟む。吸湿性が高く、ムレを防げる

Q.療養費で申請ができる圧迫用品はありますか?

医療用に設計されたガードル 医療機器申請がされており、圧迫力(10〜20mmHg程度)が備わった製品 (一般のガードルや市販の下着は対象外)
医師の指示書があること 「弾性着衣等装着指示書」を医師が作成し、必要性を明記してもらう必要があります。 (特記事項に明記されていることが必要) 加入されている保険組合によっては、申請が通らないこともあります。



Q.毎回の排尿後の注意点などを教えて下さい

拭き取り方 前から後ろへ拭く(細菌感染を防ぐ)、優しく押さえるように拭く(摩擦を避ける)
洗浄(可能な場合) ぬるま湯で優しく流す、水圧は弱めに設定し、勢いよく当てすぎず、最後は必ず乾燥させる

Q.排泄で汚れやすい場所だと思います。
清潔に保つためのケア用品のアドバイスなど教えてください

尿取りパッド・生理用ナプキン・ガーゼ 汚れたらすぐ交換、 蒸れや雑菌繁殖を防ぐため、こまめに交換
下着・圧迫ガードル 洗濯して清潔を保つ(替えを準備)

Q.陰部浮腫に対し、特に有効な体操やストレッチはありますか?

股関節を動かす (リンパ流の促進) 仰向けに寝転がり、片膝を胸に引き寄せるように曲げ、ゆっくり戻す
左右交互に10回ずつ繰り返す
ポイント:リンパ節が集中している鼡径部を意識します。
骨盤を前後に動かす(骨盤傾斜運動) 仰向けに寝て膝を立て、骨盤をゆっくり前後に傾ける
骨盤を前に傾けるときにお腹を軽く凹ませるイメージで行う。 10回繰り返す
ポイント:骨盤周りの血流を良くし、下腹部や鼡径部のリンパ流を促進
股関節の 開閉ストレッチ 仰向けに寝転がり、両膝を曲げて立てる。 膝を外側に広げて足裏同士を合わせる。 両手で膝の上に軽く触れ、膝を優しく押し下げる。 20秒キープし、ゆっくり戻す。
ポイント:鼡径部周辺を伸ばしてリンパ流を促す
太もも(裏)の ストレッチ 椅子に座り、片足を前に伸ばしてつま先を天井に向ける。 背筋を伸ばしながら体を前に倒して、太ももの裏側を伸ばす。 20秒間キープし、左右交互に2回ずつ行う。
ポイント:膝裏から太ももの裏側の筋肉が伸びるように意識する
体側伸ばしストレッチ 立った状態で片手を頭の上に上げ、反対側にゆっくり体を倒す。
脇腹と腰の伸びを感じながら20秒間キープする。 左右交互に2回ずつ行う。
ポイント:腰周りから鼡径部のリンパの流れを意識する